しびれ
しびれを起こす疾患は非常に多く、脊椎疾患(首、腰の病気)、末梢神経性の疾患(手根管症候群、肘部管症候群など)、多発神経炎、脳の病気(脳腫瘍、脳血管障害など)、過呼吸、その他にも多くの疾患が知られています。
しびれを起こす疾患は神経性のものと血管性のものの2つに大別されますが、それ以外の原因の場合もあります。
中年女性に多く、パソコン、ピアノなど手を使う人に多い傾向があります。
手根管という手のひらの付け根にあるトンネルの中を正中神経という神経が通っています。
この手根管の中で正中神経が圧迫されることが原因となります。
はじめは親指から薬指までの4本にしびれが起こります。
夜間にしびれが強く、薬指では親指側のみがしびれることも特徴の1つです。また手の甲はしびれません。
しだいにしびれは痛みに変わり、さらに進行すると親指の付け根の筋肉(母指球筋)がやせおとろえ細かい作業が困難になります。
治療法として手首の固定(装具、夜間のみのギプスなど)、消炎鎮痛剤やビタミンB群の投与、手根管内へのステロイド剤注射などを行いますが、これらで効果がなかったり、指に力が入らない場合には手術が必要な場合もあります。
肘の内側にある骨と靭帯で作られたトンネル(肘部管)のなかで、そこを通る尺側神経が圧迫またはけん引されることにより起こります。
原因として神経を保持しているバンドによる圧迫、小児期の骨折による肘の変形、加齢による骨の変形(骨にトゲができ、それにより圧迫されることが多い)、ガングリオンなどの腫瘍によるなどがあります。
症状は、手根管症候群ではしびれない部分である小指と、薬指の小指側のしびれが起こります。
進行すると手の筋肉(手の甲の筋肉、小指の付け根の手のひら側の筋肉)がやせおとろえ、小指と薬指が完全に伸びないワシ手変形(かぎ爪変形)をきたします。
治療は手根管症候群と同様に、安静、投薬、注射などを行いますが、やはり進行例では手術が選択される場合もあります。